科学技術の進歩は目覚ましく、近年あらゆる分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)が導入され、業務の効率化が図られています。また最近では対話型人工知能の登場によって言語処理の速度が格段に進歩しました。このようにこれまで人間の手で行っていた作業の多くが、新しく登場した多くの技術に置き換わってきています。
けれども、人間が他の動物や人工知能と決定的に異なる点は、人間には新しい価値を創造する力のあることです。人類は長い歴史の中で多くのイノベーターたちの手によって新しい文明を生み出し、文化を育てて今に至っています。そして、たとえ新しい技術が登場したとしても、「我々は何を目指すのか」という確固たる理念がなければ、科学の発展は必ずしも人類に幸福をもたらすとは限りません。
東京電機大学中学校・高等学校の校訓は「人間らしく生きる」です。この校訓の意味するところは、自分自身をだれからも支配されることなく、自分の意思で生き方を選択し、判断し、決断するということです。そのためには自分自身の生きる指針となる価値観を持たなければなりません。心のうちに「これだけは譲れない」という信念を持つことで、自分なりの学びの意味を感じることができるはずです。「あなたはなぜ学ぶのか」という問いに対する自分なりの答えを持つことは、そのまま自分の生きている意味に通じます。この「人間らしく生きる」という校訓を教育理念とし、本校では未来のイノベーターを育てるべく日々教育活動に取り組んでいます。
どんな時代・社会が待っていたとしても、本校の卒業生には豊かで幸せな人生を送ってもらいたいと、私たちは願っています。そのために必要な資質・能力として、私たちはつぎの「5つの力」を重視しています。
いつの時代でも、未来はだれにも予測することができません。私たちにできることは、自分自身の生きる道をたしかなものとするために、努力をすることです。そして、中学生・高校生の皆さんにとっての努力とは、いうまでもなく「学び続けること」であり、人は学ぶことによって自分自身に価値を見いだします。学びによってあなた自身が身に付けた価値は、あなたの人生を支える大きな自信となります。
中学校・高等学校の3年間・6年間、私たちといっしょに学びながら、この「5つの力」を身につけましょう。自分の人生を自信をもって肯定する、それが本校の校訓である「人間らしく生きる」という意味なのです。
東京電機大学中学校・高等学校
学校長 平川 吉治