「啐啄の機」 No.34(2024年4月9日)

2024.04.09

学校は成長する場です
 
学校長の平川です。いつも本校HPをご覧いただき有難うございます。
 
昨日(4月8日)は本校の入学式でした。この日は好天に恵まれ、正門のソメイヨシノが新入生の皆さんを晴れやかに迎えてくれました。 

満開のソメイヨシノ

入学式の様子

入学式では、私から新入生の皆さんに、次のようなことをお話ししました。


私が新入生の皆さんに伝えたいこと。それは「学校とは、成功ではなく成長する場である」ということです。

世の中に、失敗したいと思って行動する人はいません。人はだれでも成功することを目指して努力をします。けれども、新入生の皆さんがこれからの本校での学びの中で、自分の努力を評価するときには、成功したのか失敗したのかではなく、その努力によって、自分はどれだけ成長できたのか、ということを基準にしてほしいと思っています。

我々は、努力が必ず報われると分かっていれば、努力を厭うことありません。挑戦すれば必ず結果を残せると思えば、困難にも挑んでゆくことでしょう。けれども、もしそうであるならば、きっと人はそれを「努力」とか「挑戦」とは呼ばないはずです。そんな人生は、まるで結末の分かっている映画を見るような味気ないものなのではないでしょうか。

現代は、先の見えない、予測の困難な時代だと言われます。いつまた、新型コロナウィルスのような新たな感染症が世界を席巻するとも限りません。そんな時代に生きる皆さんは、きっとこれからも、自分がどの方向に進むべきか、悩むことが多いと思います。そして、いったい自分はどの道を選ぶべきなのか、いったい何が正解なのか、それはだれにも分かりません。

ですから、皆さんのこれからの学校生活において、もし判断に迷うことがあったときには、自分が最も成長できると思った道を選んでほしいと思っています。また、勉強でも部活動でも、もしも自分の思ったような結果が出なかったとしても、それだけで落ち込むのではなく、自分が目標に向かってどのように取り組んだのか、そして自分がどれだけ成長することができたのか、ということを評価の基準にしてください。

学校は成功ではなく成長する場です。このことを決して忘れないでください。


「啐啄の機」とは、もとは禅の用語ですが、教育界でよく用いられる言葉です。
「啐(そつ)」は、雛が孵化しようとしているときに卵の内側からつつく音のこと、「啄(たく)」は、親鳥が卵の外からコツコツとつつく音のことをいいます。「啐啄同時」ともいい、この二つの機会が一致してこそ、雛鳥は無事に誕生できるという意味です。

このことから「啐啄の機」という言葉は、人を育てるためには機会をとらえることがとても重要であることのたとえとして用いられます。

令和6年度も校長ブログ「啐啄の機(そったくのき)」を通じて、私の思ったことや感じたことを皆さまにお伝えしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。