「啐啄の機」No.59(2026年7月1日)

2026.07.01

校門から見える地域のぬくもり
 
毎朝、私は校門に立ち、生徒たちを出迎えています。「おはようございます」と交わす挨拶から始まる一日は、私にとって学校生活の原点ともいえる大切な時間です。
 
校門に立ち続けていると、毎日同じ時間に学校の前を通る近隣の皆さまとも自然と顔見知りになります。駅へ向かう通勤途中の方とは「おはようございます」と言葉を交わし、近くの小学校へ通う子どもたちも元気に挨拶を返してくれます。保育園へ向かう小さな子どもたちが、私を見つけて笑顔で手を振ってくれることもあり、そのたびに心が温かくなります。
 
そんな近隣の方々の中には、犬の散歩で本校の前を通られる方もいらっしゃいます。時間に余裕がある日は、校門でしばらく立ち話をすることがあります。その間、犬は実におとなしく足元で待ちながら、まるで私と一緒に生徒たちを迎えてくれているかのようです。登校してきた生徒たちも自然と笑顔になり、「おはようございます」と挨拶をしながら犬にも優しいまなざしを向けています。その穏やかな朝の風景に触れるたび、本校は地域の皆さまにも温かく見守られているのだと実感します。
 
教育は、学校だけで完結するものではありません。家庭での支えはもちろん、地域とのつながりの中で、子どもたちは少しずつ社会性を身に付け、人として成長していきます。校門の前で交わされる朝の挨拶や、地域の皆さまの温かなまなざしは、生徒たちにとって学校が地域に支えられていることを実感する機会となり、安心して学校生活を送る土台にもなっているように思います。
 
教師が生徒を育てているのだと思い込むとすれば、それは少し傲慢なのかもしれません。保護者の皆さま、地域の皆さま、そして日々生徒たちを見守ってくださる多くの大人たち。その一人ひとりが、生徒たちの成長を支えるかけがえのない存在です。学校は、そのような皆さまとの信頼の上に成り立つ教育共同体なのだと思います。
 
これからも本校が地域の皆さまに親しまれ、「この学校の生徒たちを応援したい」と思っていただける存在であり続けたいと願っています。そのためにも、生徒たちとともに挨拶を大切にし、人と人とのつながりを育んでまいります。地域から愛される学校であることは、生徒たちにとって何より豊かな教育環境につながると信じています。